基本情報技術者試験の試験範囲の中で「アルゴリズム」は大きな得点割合を占めており、プログラミングを経験したことがない方にとっては少しハードルが高く感じてしまう分野です。
2022年4月にIPA(情報処理推進機構)から発表された試験制度変更によると、現在の午後試験の試験範囲が変更され、「アルゴリズムとプログラミング」が8割を占めると明記されています。
未経験者にとってハードルが高いと感じられるアルゴリズムの出題数が大幅に増加する改正は、苦手な人にとってより一層避けては通れなくなったことを意味しています。
今回は基本情報技術者試験のアルゴリズムについて、サンプル問題などをご紹介しながらしっかりと本試験で得点する方法を解説していきます。
本記事の内容
- アルゴリズムの出題数と得点
- アルゴリズムのサンプル問題と攻略法
- 2023年度の試験制度変更について
アルゴリズムの配点は高い!
アルゴリズムとは?
- 問題解決の手順や計算方法のこと
- 方法が複数ある場合は早く処理出来る方を選ぶ
- プログラミングを行う前の基礎となる
出題分野 | 配点 | |
改正前 | データ構造とアルゴリズム | 各25点、計50点/100点 |
個別プログラミング | ||
改正後 | アルゴリズムとプログラミング | 約80点/100点 |
2022年度までのアルゴリズムの問題は、擬似言語と個別言語それぞれが出題されます。
擬似言語とはJavaやPythonといった実在するプロウラミング言語ではなく、基本情報技術者試験用のプログラミング言語です。
2022年度まではPythonといった実際に使われている個別言語も選択問題で出題されますが、2023年度からは廃止されます。
さらに、2023年度からは基本情報技術者試験の配点上、アルゴリズム以外で満点を取っても合格することはできません。
大幅に配点が変わる為、勉強をする中でもどこにどのくらい力を入れるかを考える必要があるでしょう。
理解するとどんな問題も解けるようになる
まずはテキストを読んで問題を解いてみる
「アルゴリズム」と聞いて「ちょっと難しそうだな…」と思った方は多いでしょう。
まずはテキストや問題集に取り組みながら苦手意識を克服することに集中しましょう。
アルゴリズムを勉強する上では下記のことに特に注意しましょう。
やってはいけないこと
- 暗記で乗り切ろうとする
- 問題演習をおろそかにする
意識すること
- アルゴリズムの考え方と解き方を理解する
- アルゴリズムを見て何をしているか分かるようにする
アルゴリズムは暗記ではなく考え方やアルゴリズムの「型」を学習していく為、基本的には長期戦の分野になります。
アルゴリズムの問題はある程度パターンがあり、その考え方や仕組みを抑えておくと基本的な問題はすぐに解答する力を身につけることができます。
パターンにはさまざまな種類があり、探索や整列などの基本的なアルゴリズムから学習すると良いでしょう。
2022年度までの午後試験では出題形式が大問形式である為、アルゴリズムの問題の一部に探索アルゴリズムが組み込まれるといった出題方法がありました。
一方、後ほど詳しく解説しますが、2023年度以降は小問形式で出題されるため、1問1問のボリュームは大きく減少します。
代わりに問題を解くスピードが問われる為、基本的なアルゴリズムの問題が出題された場合はすぐに解けるようにしなければなりません。
ポイント
アルゴリズムはテキストを読んだだけでは出来るようになりません。
問題演習に多くの時間をかけるようなスケジュールを立てましょう。
これらの出題傾向がある為、アルゴリズムの勉強を行う場合は暗記ではなく、考え方やアルゴリズムの「型」などに注目して勉強するようにしましょう。
過去問を解いて分からないところはその場で覚える
テキストや問題集を1周した後は過去問に取り掛かることになりますが、過去問を解いていると、「あれ?この問題はテキストや問題集で見たことがないな…」と思うことが多々あります。
具体的には下記のような問題を目にするでしょう。
問題例
- データの圧縮
- 特定文字列の出現頻度
- 検索キーワード候補の提示
これらのアルゴリズムは過去に実際に出題された問題ですが、テキストや問題集で取り上げているものは少なく、過去問で実践していくことが合格への近道になります。
特に2022年度までの試験制度では大問形式で様々な問題が出題され、中にはテキストで学習した内容が活かせない問題もあります。
ココがポイント
これらの問題が出題された場合はその場で問題文を読んで理解する必要があり、純粋にアルゴリズムを理解して解答する力が問われます。
とは言っても他の受験生も同じ境遇であることが多い為、慌てる必要はありません。
紙に重要なところや配列データの途中経過などを書き出しながら着実に解いていくようにしましょう。
アルゴリズムの解き方
- 最初はメモを取りながら解く
- データや変数の変遷に注意して解く
- 解けそうな問題から解答する
- 分からなければ問題文やアルゴリズムを何度も読む
過去問をある程度の期間解き続けていると、アルゴリズムの分野で毎回高得点を叩き出すことができます。
アルゴリズムの問題は時間との勝負
ある程度アルゴリズムの問題が解けるようになったら時間を意識するようにしましょう。
2023年度以降の科目B(旧午後試験)は小問20問で100分の試験時間となります。
最初の内は問題を解く際に「このプログラムは何をしているのか?」ということが理解できるまで時間がかかるでしょう。
特に見たことがない問題についてはかなりの時間がかかり、試験時間内に全ての問題を解くことが出来ず終わってしまうこともあります。
ココがポイント
問題を解くスピードを上げる為には慣れが必要になります。
問題に慣れる為には問題数をこなす必要があり、過去問題集や予想問題集などをとにかく解くようにしましょう。
100分以内に20問解くことができれば合格はすぐそこです。
ここまで漕ぎ着けることができれば本試験でも十分に戦える力を身につけたと言えるでしょう。
2023年4月からはこのように変わる
2023年4月より試験制度が変更され、アルゴリズムの問題が大幅に増加します。
下記の内容は基本情報技術者試験の主催者であるIPA(情報処理推進機構)から公表されたサンプル問題です。
FE_科目Bサンプル問題これまで基本情報技術者試験の問題を解いてきた人にとっては、「問題数は多くなったけど1問1問のボリュームは減ったのかな?」という印象を受けると思います。
実はそのとおりで、これまでの基本情報技術者試験の午後試験(2023年4月からは科目B試験に名称変更)では大問形式で出題されていましたが、全て小問形式で20問出題されるようになります。
この内、約8割が「アルゴリズムとプログラミング」、残り2割が「情報セキュリティ」となります。
この改正の背景には今ITエンジニアに求められるスキルの傾向を反映したものであると考えられ、プログラミングの需要が大きく伸びていることが伺えます。
アルゴリズムとプログラミングで8割ということはここだけ対策をすれば約80点は取れるということになります。
ココがポイント
アルゴリズムの問題を全て正答すれば合格点を超えることができる為、科目Bについてはアルゴリズムを勉強するだけで攻略可能となります。
短期間で基本情報技術者の合格を目指す人ほどアルゴリズムの勉強をすべきでしょう。
午前免除制度を利用する方法もあり
基本情報技術者試験は「午前免除制度」というものがあり、一定の要件を満たすと午前試験の免除を受けることができます。
この制度は2023年度以降の試験制度改正後も有効であり、科目B試験(午後試験が呼称変更)に集中することができます。
上記で解説したとおり、科目B試験はアルゴリズムが8割であるため、アルゴリズムの勉強のみに集中することができます。
午前免除制度はIPAの指定講座を受講する必要があるため、どの資格学校でも用意されているわけではありません。
さらに詳しく
午前免除を受けることができる講座についてはこちらの記事をご覧ください。
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しかし、アルゴリズムに特化した講座や教材は数が少ないのが現状です。
さらに詳しく
アルゴリズムの勉強を外部講座で行いたい方はこちらの記事をご覧ください。
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アルゴリズムに特化したテキストと問題集を下記にご紹介します。
筆者としては他の基本情報技術者試験の試験範囲を網羅しているテキストと問題集でも合格する上では問題ないと考えています。
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基本情報技術者は「ITエンジニアの登竜門」と言われるほどIT業界では有名な資格試験です。
基本情報技術者試験を取得したからと言って何か出来るようになるわけではありませんが、「一定程度のIT知識を持っている」という証明にはなるため、転職や就職、会社での人事評価など様々なタイミングで認められる資格になります。
特にITエンジニアとしての経験がある方は自分のスキルに箔を付けることに役立ちます。
基本情報技術者試験は今後もITエンジニアの急速な人材不足に比例して価値が向上していく資格試験であるため、取得しておけば一生ものの資格になるでしょう。
本記事のまとめ
- アルゴリズムは暗記では乗り越えられない
- 試験制度改正により出題数が大きく増加する
- 大問形式から小問形式に変わり、スピードが求められる
- まずは苦手意識の克服を目指そう!
皆さんが基本情報技術者試験に合格することをお祈りしています。