簿記・会計

簿記1級を独学で合格するためには【独学でも十分に合格可能です】

悩む人
簿記1級を勉強したいけど独学でも合格できるのかな?

という方に向けて今回は記事を書いていきたいと思います。

簿記1級はどれくらい難しいの?

日商簿記1級は簿記検定の中でも最高峰の検定であり、日商簿記2級とは比べ物にならないほど難しいです。

いきなり脅すようなことを言ってしまって申し訳ないのですが、簿記2級と簿記1級の難易度は圧倒的に違います。

簿記2級は合格率が約20%であり、簿記1級の合格率は約10%です。

しかし、簿記2級の受験者は「将来簿記の知識を活かした仕事に就きたい」と考えている人が受験することが多い状況であるのに対し、簿記1級の受験者は「公認会計士や税理士といった専門的な業種・職種で仕事をしていきたい」という人が公認会計士や税理士の勉強の過程で受験することが多いです。

そのため、受験者のレベルが全然違います。その受験者の中でも合格する人が約10%なので、同じ志を持ったライバルが手強いということがお分かりいただけると思います。

簿記1級の試験範囲

簿記1級の試験範囲は商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算です。

また、簿記1級からは会計基準や企業会計に関連する法令の理論も問われます。

簿記1級から新しく出題される試験範囲の中で主要なものは以下の分野があります。

簿記1級から新しく出題される分野

  • 退職給付引当金・退職給付債務の計算
  • 特殊商品売買
  • 工事契約
  • デリバティブ取引
  • 減価償却の総合償却・取替法
  • 固定資産の減損
  • 繰延資産
  • リース取引のセール・アンド・リースバック取引など
  • 資産除去債務
  • 財務諸表の注記
  • キャッシュ・フロー計算書
  • 資本金の原資・現物出資・株式転換・株式償還・株式分割
  • 利益剰余金の分配可能額の算定
  • 事業分離・清算
  • 社債
  • 在外支店の外貨換算
  • 連結会計の持分法・税効果会計・包括利益
  • 連結キャッシュ・フロー計算書
  • 会計基準及び企業会計の法令等

かなり多いですね…(^_^;)

特にデリバティブ取引やセール・アンド・リースバック取引など経理担当者でさえ馴染みがないのではないでしょうか。

なかなか取っつきにくい分野が多いと思いますが、日商簿記1級は大企業で行われる取引や決算が前提となっているため、あまり聞いたことがない取引や複雑な処理を伴う取引が多く出題されます。

実際に日商簿記1級を取った後に大企業に就職したとしても使わない知識が多いと思いますが、日商簿記1級を持っているというだけであなたに対する評価は非常に高いものになります。

従業員数が数百人規模の会社に就職したとしても日商簿記1級まで取得している人は1人いるかいないかではないでしょうか。

簿記1級の費用と勉強時間

日商簿記1級を独学で勉強する人はテキストと問題集を購入して始める人が多いと思います。

そこで最初に「えっ、こんなに何冊も必要なの?」とか「こんなにお金かかるの?」という印象を受けると思います。

日商簿記1級はかなり試験範囲が広いため、たとえ独学で勉強しようと考えたとしてもテキストや問題集、過去問を購入すると数万円かかります。

また、専門学校に通って勉強するとなれば10万円は下らないでしょう。

そのため、まずはお金を貯めましょう。

独学で勉強する方には科目ごとにテキストと問題集を順番に購入して勉強する方もいますが、効率が少し悪いのでやめましょう。

勉強時間についてですが、日商簿記1級に1発合格する場合であっても、約700時間程度と言われています。

期間に直すと半年~1年となります。専門学校のコースも半年~1年間で設計されています。

日商簿記1級は3・2級と異なり、年に2回(6月・11月)しかありません。一度落ちると半年先になります。

半年先になるとさすがに復習しながら次の試験に備えなければならないため、さらに数百時間勉強が必要となるでしょう。

そのため、日商簿記1級を勉強する際は必ず1発合格をするという覚悟で勉強した方が良いでしょう。

効率の良い勉強法は?

まず、日商簿記1級には足切りという制度があります。

4科目の内得点が40%以下であった場合は合計得点が70点を超えていても不合格となる制度です。

各科目が25点満点ですので、どれか一つでも10点以下であれば不合格となるということです。

そのため、筆者のおすすめの勉強法は1科目ごと順番に勉強するのではなく、4科目を同時に少しづつ学習する方が良いと思います。

コツとしては1章ごとや1分野ごとに科目を変えるという方法です。

毎回テキストを変えるのはめんどくさいと思うかもしれませんが、先ほど解説した通り足切り制度があるため、苦手科目を一つでも作ってしまうともったいないことになってしまいます。

また、筆者が日商簿記を勉強していた頃に感じたのは、工業簿記や原価計算は比較的得点しやすいということです。

早く得点を上げてモチベーションを維持したいという方は、少し工業簿記や原価計算に勉強時間の配分を多くしてみるのも良いかと思います。

日商簿記1級を独学で勉強する方は、勉強するモチベーションの維持が大変だと思います。

筆者が考える合格の秘訣としては、半年~1年間という長期間の勉強期間を戦い抜く覚悟と1度不合格になってもまた半年間勉強を続けるめげない心が必要だと思います。

厳しいことを言いますが、日商簿記1級は合格率が約10%であるため、1発合格が非常に難しい試験です。(筆者も何度も落ちました…)

しかし、合格した時に得られるものはかなり大きいので、ぜひ勉強を続けてください。

日商簿記1級を効率よく勉強するテクニックの話をしますと、インプットよりもアウトプットに時間をかけるということです。

アウトプットに時間をかけて行うと順調に点数が上がってくるので、モチベーションもUPします。

とにかく長期間の勉強期間を戦い抜くための環境や覚悟をしっかり持っておくということが大切なので、ぜひ検討してみてください。

簿記1級はどういうところで活かせるの?

日商簿記1級はその難易度から世の中でも持っている人は非常に少ないです。

日商簿記1級に合格している人は公認会計士や税理士のようなスペシャリストとして働いている人が多いため、事業会社に就職した場合は非常に希少な存在となるでしょう。

一般の事業会社の印象としては「簿記については一通りマスターしている」という評価になります。

もしかしたらその会社の経理部にも日商簿記1級を持っている人はいないかもしれません。

そのため、仕事でも頼りにされ、一目置かれる存在になるでしょう。

また、様々な企業の財務諸表を分析することができるため、就職活動や転職活動を行う時に候補である企業の財務情報から「本当にこの会社は儲かっているのか?」とか「本当にこの会社は倒産する可能性はないのか?」という視点で分析することができます。

日商簿記1級についてはその知名度の高さから、どんな環境でも評価されるでしょう。

勉強に投じた時間は裏切らないので、合格することを信じて勉強を続けましょう。

最後に

日商簿記1級は知名度が高く、かつ簿記検定の最高峰の資格です。

合格するためには長期間の勉強を戦い抜く精神力が必要となり、何度も壁にぶつかると思います。

しかし、合格した場合に得られる社会からの評価は非常に大きいです。

筆者も日商簿記1級を持っていると言うと一目置かれるような経験をしたことが何度もあります。

日商簿記1級に合格した方々の経験を糧にモチベーションを維持しながら勉強してみてもいいのではないでしょうか。

皆さんが合格することをお祈りしています。

  • この記事を書いた人

シズ

簿記・会計×ITのお役立ち情報を配信します! 自分の経験や勉強してきた内容などをもとに更新しています 実績☆ 簿記×会計:日商簿記1級合格、大学対抗簿記大会で全国大会優勝 IT:応用情報技術者試験合格、IT簿記選手権大会FE部門で全国大会準優勝

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