基本情報技術者試験は毎年のように試験制度が改正されており、配点などもそれにつれて変更されています。
執筆時点の2022年では特定の分野で配点が高くなっており、要点を絞った効率の良い勉強法がより高得点を狙えるようになります。
今回はどのように勉強すれば良いのか、午前試験の勉強法とどのように違うのか、筆者の実体験と直近の傾向を交えながら解説していきます。
本記事の内容
- 基本情報技術者試験の試験傾向
- 午後試験の対策方法
- 2023年4月からの新試験制度について
午後試験の概要
基本情報技術者試験の午後試験概要
問題項目 | 変更前 | 配点 | 解答形式 |
問1 | 情報セキュリティ | 20点 | 解答必須 |
問2〜問5 | ソフトウェア・ハードウェア データベース ネットワーク ソフトウェア設計 プロジェクトマネジメント サービスマネジメント システム戦略 経営戦略・企業と法務 |
各15点 | 4問中2問選択 |
問6 | データ構造及びアルゴリズム | 25点 | 解答必須 |
問7〜問11 | C言語 Java Python アセンブラ言語 表計算 |
25点 | 5問中1問選択 |
※上記の試験内容は2022年度までの内容であり2023年度からは新試験制度に変更となります。
11問の大問から5問解答する問題形式であり、ある程度自分の得意とする問題を選択できる形式となっています。
「情報セキュリティ」と「データ構造及びアルゴリズム」については必須解答となっており避けて通ることはできません。
配点もこの二つで45点分とほぼ半分を占めるため、この二つの分野を集中的に勉強することによって一気に合格に近づくことができるでしょう。
特にアルゴリズムについては問7〜11の個別アルゴリズムにも活かせる知識を身につけることができるため、この分野でしっかり得点が稼げるよう集中的に勉強しましょう。
基本情報技術者試験の傾向と対策
基本情報技術者試験の午後試験は狭く深く問われるため、過去問を解くときは数をこなすというよりしっかり理解できるまで繰り返し解くことが重要です。
午前試験については過去問から多くの問題がそのまま出題される傾向にあるため、とにかく過去問を解くという勉強法が有効でした。
しかし、午後問題については過去問と同様の問題がそこまで出題されないため、最新の試験範囲に合わせて勉強する必要があります。
ココがポイント
出題分野はある程度絞られており、特定の分野のみを勉強することによって合格するという戦略が通じる試験でもあります。
ただし、選択問題の中でも何問か例年と比べて難しくなっていることもあるため、自分が本試験で選択する問題以外にも解答できる分野をいくつか勉強しておくと良いでしょう。
情報セキュリティとデータ構造及びアルゴリズムについては必須解答であるため、必ず勉強する必要があります。
次の項目で解説しますが、この二つの分野は試験の主催者である情報処理推進機構としても重要視している分野であり、2023年度からの新試験制度ではこの二つの分野を骨格とする試験制度への変更が予定されています。
勉強方法としてはこの「情報セキュリティ」と「データ構造及びアルゴリズム」でできるだけ点数を稼げるようにしっかり勉強し、他の選択問題で合格点まで手が届くようにするという攻略法が王道となるでしょう。
2023年4月から大幅に試験制度が変わる
2022年4月に情報処理推進機構から新試験制度に関するニュースリリースが公開されました。
内容は試験制度の通年化や試験範囲・試験時間の変更であり、これまでの試験から大幅に変更するものとなっています。
これに伴い、2023年度以降に基本情報技術者試験を受験しようと考えている人は勉強法を変える必要が出てきました。
さらに詳しく
詳しくは下記の記事にて解説しています。
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【基本情報技術者試験が変わる!】2023年4月からの新試験制度解説!
情報処理推進機構から2022年4月25日付のニュースリリースで、2023年4月から基本情報技術者試験(FE)と情報セキュリティマネジメント試験(SG)の試験制度変更が発表されました。 FEとSGは20 ...
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午後試験対策の具体的な勉強法
過去問を解いて「考え方」や「解き方」を習得する
基本情報技術者試験の午前試験と午後試験は出題形式が大きく異なっており、勉強法も変える必要があります。
午前試験は単語や用語、簡単な計算問題が主流であるため、1問1答形式の勉強法となりますが、午後試験は大問形式で深い論理的思考力が問われるため、過去問や予想問題などを解いて「考え方」や「解き方」を習得する必要があります。
午後試験対策としてはある程度テキストや問題集をこなした後、繰り返し過去問を解く方法が王道となるでしょう。
筆者としても5年以上前の過去問まで繰り返し解き、解答力を養いました。
勉強の順序としてはまず浅く広い対策が必要な午前試験を学習し、基礎的な知識を身につけてから午後試験へと進むようにしましょう。
特定の分野に特化して勉強する
これまで述べてきたように、基本情報技術者試験は広範な試験範囲となっていますが、特定の分野での配点が高く、ある程度要点を絞った勉強法で合格することができます。
特に「情報セキュリティ」と「データ構造及びアルゴリズム」については必須問題でありながら45点分の配点がなされており、非常に重要な分野となっています。
午後試験対策としては過去問などを積極的に解いていくことになりますが、私の感覚としては、「情報セキュリティ」については最新の仕組みや構造などが登場していながらも、基本的な考え方などは変わっていないという印象です。
「データ構造及びアルゴリズム」は5年以上前から考え方や解き方は変わっておらず、問題の難度については年度によってムラがあるにしても、よく言われる「ITの試験は昔の問題を解いてもあまり意味がない」という傾向はない印象でした。
この二つの分野については過去問をしっかり解いて対策を行えば本試験でも満点近い得点を得ることができます。
筆者が基本情報技術者に合格した際にも、この二つの分野で得点を稼ぐことによって合格点に手が届きました。
既に仕事などで特定の分野の知識を獲得している方については、その分野を主軸とした戦略を立てることもできますが、未経験の方についてはこの二つの分野を主軸とすることをお勧めします。
特に「データ構造及びアルゴリズム」については選択問題である「個別プログラム」についても応用できる知識を獲得でき、この分野でも得点を稼ぐことができれば合格はもうすぐそこです。
分からなければすぐに解答を見る
午後試験の勉強をしていると「問題文が何を言っているのか分からない」「どこをどのように考えて解けばいいのか分からない」という問題に当たることがあります。
このような時は考え込まずにすぐに解答を見るようにしましょう。
解答を見る時には再度同じ問題が出題された場合に解けるようになることを目標としてください。
午後試験は論理の上に論理を積み重ねて深く思考する問題が出題されるため、「解答を見て終わり」ではなく、解答の導き方や問題の考え方を習得することに重きを置いた勉強方法が必要です。
このような考え方は1回解いたり解答を確認したとしても習得することは難しく、何度も同じ問題を解くことによって学習する必要があります。
ココがポイント
特に最初のころは試験時間に全く間に合わないと思いますので、ある程度解答できるようになってから時間を意識した勉強法を心がけるようにしてください。
最終的には「どのくらいのスピード感で問題を解く必要があるのか?」ということを感覚的に捉えることができれば、合格ラインが見えてくるでしょう。
どうしても分からない場合は資格講座を受講する
午前試験はある程度暗記で乗り越えられる傾向にありますが、午後試験はしっかりと理論を理解する必要があります。
ココがポイント
午後試験問題の中にはIT未経験者にとってハードルが高いものもあり、「解答を見てもよく分からない」と感じることがあるかもしれません。
その場合は資格講座の受講おすすめします。
資格講座ではテキストに書いていない考え方や解き方を解説している場合があり、さらに分からない部分を直接質問できるという利点があります。
お仕事などである程度知識を有している人は講座を受講するまでもないと思いますが、IT未経験者にとっては基本情報技術者試験のハードルが少し高いものに見えてしまうかもしれません。
せっかく勉強したものが「これは私には無理だ」と投げ出すのは非常にもったいないです。
費用は多少かかってしまうかもしれませんが、勉強を投げ出すくらいなら資格講座を受講するようにしましょう。
さらに詳しく
基本情報技術者の資格講座についてはこちらの記事をご覧ください。
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勉強を始める前に合格までの戦略を立てよう
今回は基本情報技術者試験の午後試験について、試験傾向や配点などを意識した勉強法をご紹介しました。
これまでご紹介したとおり、基本情報技術者試験の広範な試験範囲を全て対策する必要はなく、しっかりと戦略を立てた勉強法をあらかじめ決めておけば効率良く合格に辿り着くことができます。
基本情報技術者試験は20代のIT未経験者層が比較的多い資格試験であるため、今回ご紹介した勉強法はためになるものではなかったでしょうか。
本記事のまとめ
- 午前試験と午後試験では対策方法が違う
- 午後試験対策は特定の分野を集中的に勉強することが必要
- 2023年度から試験制度が変わり、勉強法を改める必要がある
- IT経験者は得意分野を主軸とする方法もある
皆さんが基本情報技術者試験に合格することをお祈りしています。