「過去問を解いても午後試験の点数が合格点を超えない…」
「午後試験の問題が難しすぎる…」
と感じている方は多いと思います。
実際に午前試験を突破しても午後試験で落ちてしまう人が多く、筆者も午後試験で一度不合格になった経験があります。
今回は最近の基本情報技術者試験の配点や対策、2023年度からの新試験制度対策などについて、合格までの実体験を交えながら解説していきます。
本記事の内容
- 午後試験の概要
- 午後試験の対策方法
- 新試験制度の概要と対策方法
午後試験の概要
基本情報技術者試験の午後試験概要
問題項目 | 出題範囲 | 配点 | 解答形式 |
問1 | 情報セキュリティ | 20点 | 解答必須 |
問2〜問5 | ソフトウェア・ハードウェア データベース ネットワーク ソフトウェア設計 プロジェクトマネジメント サービスマネジメント システム戦略 経営戦略・企業と法務 |
各15点 | 4問中2問選択 |
問6 | データ構造及びアルゴリズム | 25点 | 解答必須 |
問7〜問11 | C言語 Java Python アセンブラ言語 表計算 |
25点 | 5問中1問選択 |
※上記の試験内容は2022年度までの内容であり2023年度からは新試験制度に変更となります。
基本情報技術者試験の午後試験は必須解答問題が2問、選択問題が3問の計5問となっています。
選択問題はある程度自分の得意科目に絞って対策することは可能ですが、必須問題である「情報セキュリティ」と「データ構造及びアルゴリズム」は避けて通ることはできません。
後ほど解説しますが、2023年度以降はこの二つの分野で問題が構成されるため、勉強方法もそれに合わせて変えていく必要があります。
しっかりと出題範囲と配点を意識した勉強方法を心がけるようにしましょう。
午後試験の攻略法
やってはいけないこと
- 暗記で乗り切ろうとする
- 問題演習の時間を確保しない
- 試験時間を意識しない
意識すること
- 配点の高い問題を集中的に勉強する
- 2023年度以降に受験する場合はアルゴリズムに集中する
- 最初から全ての問題を解こうとしない
午後試験は午前試験と異なり、狭く深い範囲の問題が出題されます。
しっかりと問題文を読み解き、時間を掛けて解かなければいけない大問形式で出題されるため、実力が伴っていないと歯が立ちません。
特にアルゴリズムの問題は配点が高く、この分野を苦手としてしまうと合格点を取ることができません。
午後試験は過去問を解きながら「時間内に合格点を取る為にはどうすれば良いのか?」ということをしっかり意識しましょう。
午後試験は演習に時間を割く
午後試験は午前試験のように暗記では乗り越えられません。
また、午後試験で落ちる人の多くは「解答時間が足りない」ことが原因です。
そのため、午後試験はインプットよりもアウトプットに時間を割く必要があります。
さらに、本試験では初めて目にする問題が普通に出題されるため、ある程度過去問をこなさないと点数を取ることができません。
例えば、アルゴリズムの分野では教科書で探索やソートのアルゴリズムを学習してきたと思いますが、データ圧縮や文字列置き換えなど、見たことがない問題が本試験で出題されたりします。
このような問題は過去問を解いてやり方を覚えていく必要があり、問題を読んで何をしているのかを素早く理解する力が問われます。
このような理解力や応用力はすぐに付くものではなく、問題演習を繰り返しながら着実に点数を上げていく必要があります。
目標としている試験日まで時間がないとは思いますが、焦らずじっくり攻略していくようにしましょう。
配点が高い分野を攻める
基本情報技術者試験の午後試験はアルゴリズムの分野(選択問題の表計算も含む)で50点分の配点があります。
後ほど詳しく解説しますが、2023年度からはさらに配点が大きくなり、アルゴリズムだけで約80点分となります。
情報セキュリティも必須問題として出題されるため、この二つの分野を勉強すれば高得点が取れる計算になります。
「個別プログラムと表計算」の分野では表計算を選択する人が多いですが、表計算は年々難化しており、近年ではマクロなどの問題が出題される傾向にあります。
2023年度からは表計算が廃止される為、今基本情報技術者を勉強している方は、アルゴリズムの勉強に切り替えることも選択肢としてありだと考えます。
さらに詳しく
アルゴリズムの攻略法についてはこちらの記事をご覧ください。
-
【アルゴリズムを攻略して一気に合格!】基本情報技術者試験のアルゴリズム解説
基本情報技術者試験の試験範囲の中で「アルゴリズム」は大きな得点割合を占めており、プログラミングを経験したことがない方にとっては少しハードルが高く感じてしまう分野です。 2022年4月にIPA(情報処理 ...
続きを見る
解ける問題から解く
ポイント
午後試験の問題の中には難しい問題が1〜2問存在します。
2022年度までの基本情報技術者試験は11問の内5問解答する必要があります。
「情報セキュリティ」や「データ構造及びアルゴリズム」は必須解答ですが、他の問題は選択式になっています。
当然ながら問題によって難易度がバラバラであり、解答する為にかかる時間も異なります。
過去問を解く際にもまずはざっと全ての問題を確認し、「どこから解こうかな?」と確認すると良いでしょう。
2023年度以降は小問形式で20問出題され、全て解答する形式となります。
出題内容は8割が「アルゴリズムとプログラミング」2割が「情報セキュリティ」となります。
全ての問題が必須解答になりますが、こちらも難易度がバラバラであり、問題文も長いものや難解なものが含まれます。
ポイント
まずは「解けそうな問題から解く」ということを意識し、試験後半に「時間を掛けて解く問題」に取り掛かるようにしてください。
午前試験免除制度を使って午後試験に集中する
午前試験免除制度とは
- 基本情報技術者試験の午前試験が1年間免除される制度
- IPAが認定した講座のみ対象
- 講座受講後、午前免除に係る修了試験に合格する必要がある
勉強時間があまり取れない社会人などには「午前試験免除制度」を活用する方法があります。
文字通りこの制度は午前試験の免除が受けられるものですが、この制度を受ける為にはIPA(情報処理推進機構)から認められた講座を受講する必要があります。
午前試験免除制度が受けられる講座は意外と少ないため、講座選びの際には細かく調べる必要があります。
さらに詳しく
午前試験免除制度が受けられる講座について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
-
基本情報技術者試験で午前免除を受けられる講座はどれ?
情報処理技術者試験のレベル2である基本情報技術者試験には午前免除制度があります。 この午前免除制度について、今回は制度の内容と午前免除制度が受けられる講座をご紹介します。 本記事の内容 午前免除制度の ...
続きを見る
新試験制度で大きく出題範囲が変わる
基本情報技術者試験の試験制度変更
試験項目 | 変更前 | 変更後 |
試験回数 | 年2回 (春・秋) |
通年化 (受験者の都合の良い日時を選択) |
試験科目名 | 午前試験 午後試験 |
科目A試験 科目B試験 |
試験時間 | 午前:150分 午後:150分 |
科目A:90分 科目B:100分 |
問題数 | 午前:出題数80問、解答数80問 午後:出題数11問、解答数5問 |
科目A:出題数60問、解答数60問 科目B:出題数20問、解答数20問 |
試験範囲 | ー | 科目A:旧午前試験と同様 科目B:セキュリティとアルゴリズムに特化 個別プログラム(Cや表計算など)は擬似言語に統一 |
引用:情報処理推進機構 情報処理技術者試験における出題範囲・シラバス等の変更内容の公表について
2023年度より基本情報技術者試験の午後試験の試験範囲が大きく変わります。
さらに詳しく
新試験制度について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください
-
【基本情報技術者試験が変わる!】2023年4月からの新試験制度解説!
情報処理推進機構から2022年4月25日付のニュースリリースで、2023年4月から基本情報技術者試験(FE)と情報セキュリティマネジメント試験(SG)の試験制度変更が発表されました。 FEとSGは20 ...
続きを見る
2023年度からの科目B試験(旧午後試験)はアルゴリズムの分野が8割を占める為、苦手意識を持っていても避けては通れなくなります。
逆にアルゴリズムを得意科目とすることで、情報セキュリティが苦手であっても合格点に届くことになります。
もし2023年4月以降に受験を考えている方は、新試験制度の配点を意識した勉強が必須となるでしょう。
さらに詳しく
アルゴリズムの勉強法についてはこちらの記事で解説していますのでご覧ください
-
【アルゴリズムを攻略して一気に合格!】基本情報技術者試験のアルゴリズム解説
基本情報技術者試験の試験範囲の中で「アルゴリズム」は大きな得点割合を占めており、プログラミングを経験したことがない方にとっては少しハードルが高く感じてしまう分野です。 2022年4月にIPA(情報処理 ...
続きを見る
午後試験対策講座・教材
午後試験の対策講座や教材は多く存在しています。
さらに詳しく
午後試験対策講座について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください
-
合格者が教える!基本情報技術者おすすめ講座4選
基本情報技術者試験は情報処理技術者試験のレベル2に該当する国家試験です。 システムエンジニアなどのIT系職業の「登竜門」と言われており、転職やIT企業への就職を目指す社会人や学生だけでなく、自分のスキ ...
続きを見る
しかし、アルゴリズムに絞った講座や教材は少なく、数える程度になります。
さらに詳しく
アルゴリズムの教材を知りたい方はこちらの記事をご覧ください
-
【アルゴリズムを攻略して一気に合格!】基本情報技術者試験のアルゴリズム解説
基本情報技術者試験の試験範囲の中で「アルゴリズム」は大きな得点割合を占めており、プログラミングを経験したことがない方にとっては少しハードルが高く感じてしまう分野です。 2022年4月にIPA(情報処理 ...
続きを見る
基本情報技術者試験はITエンジニアの登竜門
基本情報技術者試験は「ITエンジニアの登竜門」と言われ、IT企業の新入社員や学生の方などが多く受験する資格試験です。
毎年10万人以上が受験している国家試験であり、多くの企業で求められている資格でもあります。
2023年度からはアルゴリズムの配点が大きく増え、IT未経験者には少しハードルが上がることになりますが、それだけ「求められる人材」になることができます。
2019年の試験制度改訂で情報セキュリティとアルゴリズムの配点が大きくなった傾向は今でも健在であり、「ITエンジニアに求められるスキル」に寄り添った改正であることが伺えます。
IPAのIT人材白書によると現在既に不足しているIT人材はこれからさらに不足する傾向にあり、相対的に基本情報技術者などの知識がある人の価値は上がっていくことになります。
IT業界は高年収業界でもあるため、未経験でも挑戦する価値があると言えるでしょう。
本記事のまとめ
- 午後試験はアルゴリズム対策が攻略の鍵
- 2023年後以降の科目B試験はアルゴリズムだけで合格可能
- 勉強時間が取れない方は午前試験免除制度を使うのもあり
皆様が基本情報技術者試験に合格することをお祈りいたします。